Yappli Tech Blog

株式会社ヤプリの開発メンバーによるブログです。最新の技術情報からチーム・働き方に関するテーマまで、日々の熱い想いを持って発信していきます。

新しいビジネスを生み出す社内イベント「Yappli Ship」に唯一のエンジニアとして参加しました!

はじめに

こんにちは、ヤプリでiOSエンジニアをしています。菅(@Nao_RandDです。

ヤプリには、全社員が参加できるピッチコンテスト「Yappli Ship」というイベントがあります。

普段の業務から少し離れて、ヤプリが取り組むべき新しいビジネスアイデアを、経営陣に向けて提案できる貴重なイベントです。

今年は2回目の開催で、去年大変な盛り上がりを見せたイベントです。

コンセプトや前年の雰囲気を知りたい方はこちらをご覧ください。

今回、この Yappli Ship に唯一のエンジニアとして参加し、Apple Vision Pro を活用したビジネスアイデアで挑戦してみました。

この記事では、技術的な視点を持ちながらピッチコンテストに挑んだ経験や、そこで生まれたデモアプリについてご紹介できればと思います。

やったこと

やったことは大きく4つあります。

  1. Apple Vision Pro でエントリー、そして1次選考通過!
  2. AI と壁打ちしながらアイデアを磨く
  3. エンジニアらしく、デモで語る
  4. 結果は…

エンジニアが一人でピッチコンテストに出る、というのは少し珍しいケースかもしれません😇。 技術の可能性を信じ、それをどうビジネスに繋げるか、試行錯誤の連続でしたが、非常に学びの多い経験でした。

それぞれ紹介していきます。

Apple Vision Pro でエントリー、そして1次選考通過!

まずはアイデア出しからです。

せっかくエンジニアとして参加するので、やはり最新技術で何か面白いことができないかと考えました。

そこで白羽の矢が立ったのが、ヤプリでも R&D 活動が始まっていた Apple Vision Pro です。

tech.yappli.io

「空間を活かした新しいコミュニケーションの形」をコンセプトにビジネスアイデアを練り、エントリーシートを提出しました。

そして、なんと1次選考を通過することができました!🎉

正直なところ、アイデア先行でどこまで評価されるか不安だったのですが、新しい技術への期待感も含めて選んでいただけたのかなと思っています。

AIと壁打ちしながらアイデアを磨く

決勝進出が決まったものの、ここからが大変でした。

ビジネスとしての実現性や、具体的な価値提供の側面を、エンジニアである自身一人の視点だけでは深掘りしきれずいました。

そこで、アイデアの壁打ち相手として AI に協力してもらうことにしました。

提案するアイデアのターゲットは誰か、どのような課題を解決するのか、マネタイズはどうするのか…といった点をAIに問いかけ、返ってきた答えに対してさらに深掘りしていく、という作業を繰り返しました。

ヤプリでは Google Gemini Pro を社員全員が使えるようになっています。

ChatGPT の GPTs のように、あらかじめ指示を入れてその内容を前提にチャットをしてくれる Gem という仕組みが Gemini にあるので、そちらを活用していきました。

Gem の使用方法 - Gemini アプリ ヘルプ

以下のような文章を入れてサポートしてもらっています。

あなたは多角的な視野を持つストラテジストです。 Apple vision Proで組織エンゲージメントを高めることに活用します。 水平思考で物事を考えてアイデアの幅を広げることと、visionOS開発についても熟知しており既存で公開されているAPIから実現可能性まで明確に捉える力があります。

疑問についての解説には、step-by-stepでわかりやすく説明を行います。 事業の展開など議論の発散が必要な場合には、新しく考える切り口をこちらに渡すような発想力とコーチングを行います。

様々な視点やアイデアを踏まえて会話を進められ、思考の整理がものすごく捗った印象です。

技術的な実現可能性は自身で判断しつつ、ビジネス的な肉付けはAIと協力して行う、というハイブリッドな形で準備を進めました。

エンジニアらしく、デモで語る

決勝プレゼンでは、スライドだけで壮大な未来を語るのではなく、「実際に動くもの」を見せることが最も説得力を持つと考えました。

そこで、提案するアイデアの中核となる体験を、プロトタイプアプリとして実装し、発表当日はそのデモを実演することにしました。

空間サンクスカード

日頃の感謝を伝え合う「サンクスカード」の文化を、空間コンピューティングで拡張するアイデアです。

ヤプリの提供する「サンクスカード機能」をモバイルの垣根を超えて体験できるようにするコンセプトです。

Apple Vision Pro を装着すると、オフィス空間にたくさんのサンクスカードが浮かんで見えます。

カードをタップすると「誰から誰へ」送られたのかを示す矢印が伸び、さらにタップすると部署ごとにソートされ、どの部署でどれだけの感謝が交わされているのかを直感的に体験できます。

会社全体でどれほどの感謝の輪が広がっているかを空間的に可視化することで、組織の一体感を醸成したり、マーケティングイベントでヤプリの素敵な文化としてアピールするコンテンツにもなり得ると考えています。

他にも2つほど

ここでは全てをご紹介できませんが、

  1. Multipeer ConnectivityEnterprise APIs for visionOS を利用して視野をマルチデバイスで共有して新たなオンボーディング体験を行うもの
  2. APMP (Apple Projected Media Profile) で新しい動画体験を気軽に提供していくもの

と合わせて3つを当日の会場でデモしました。

Apple Vision Proの画面をミラーリングしてデモ

この辺りも色々な試行錯誤を実装したり、実際に GoPro HERO 13 の機材を用意して撮影したりと、内容モリモリなので別の記事や登壇機会にご紹介したいです!

今回、「Apple Vision Pro ならではの体験でワクワクしてもらう」をコンセプトに事前撮影したものではなく、当日の会場でデモをする選択をしました。

発表時に動くものとして提案するアイデアが具体化されていることは、とても良いアピールポイントになったかと思います。

結果は…

決勝での発表を終え、迎えた結果発表。

結果は…優勝ならずでした!😭

ただ、聴いてくださった方からはといったポジティブなフィードバックを多くいただくことができました。

・リアルではなくバーチャルに起点を置いた内容だった、そういった実現の仕方もあるんだというので聞いていてとても面白かった
・未来感を感じた
・デモがあって感動体験をイメージしやすかった。
・エンジニアだからこそできる発表になっていた。

ピッチコンテストという場で、エンジニアリングの力をしっかりアピールできたことは、自身にとって大きな自信になったかと思います。

最後に

ビジネスサイドの応募が多かった Yappli Ship にエンジニアとして一人で参加するという挑戦は、まさに手探りの連続でした😇。

ビジネスの視点、ユーザーへの価値提供という観点から自身のアイデアを見つめ直すことで、技術をただの「手段」としてではなく、「価値を生み出すための核」として捉える重要性を改めて認識できたように思います。

ヤプリには、今回のようなイベントをはじめ、職種の垣根を越えて新しいことに挑戦できる文化があります。自身の専門性を活かしながら、さらに新しい領域へ踏み込んでいけるのは、ヤプリの大きな魅力かと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



ご興味がある方いましたら是非カジュアル面談でお話しましょう!

open.talentio.com



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