Yappli Tech Blog

株式会社ヤプリの開発メンバーによるブログです。最新の技術情報からチーム・働き方に関するテーマまで、日々の熱い想いを持って発信していきます。

Apple Vision Pro を社内で普及する活動をしました

はじめに

こんにちは、ヤプリでiOSエンジニアをしている菅(@Nao_RandDです。

今年の夏、ヤプリでは R&D 領域の取り組みとして Apple Vision Pro を3台購入しました!(1台でなく3台!、すごいっ!🎉)

Apple Vision Pro は世の中にすでに広く普及しているものではなく、これからの新しい体験を提供する未来のデバイスといえます。

そのため、「どのように活用するか」「どんな未来を描くか」をエンジニアだけでなく、ビジネスサイドのメンバーとも協力しながらアイデアを出し合うことが必要です。

この記事では、Apple Vision Pro を活用したビジネスアイデアを生み出す基盤を社内で構築するために取り組んだ内容をご紹介します。

やったこと

やったことは大きく4つあります。

  1. Apple Vision Pro 開封の儀を開催
  2. Apple Vision Pro を知る分科会を実施
  3. 試してみたことのランダム共有
  4. プロトタイプアプリを作成

この取り組み全体を通じて、Apple Vision Proがどのような可能性を持ち、どのような未来を見据えているのかを社内に広める役割を果たすことを期待しています。

ネイティブアプリを扱うヤプリ社内でも、Apple Vision Pro が実際にどんなことができるのかを正確に把握している人は多くありません。

そのため、興味を持ってもらい、基礎知識を身につけてもらうとともに、「どのように楽しむか」「どのようなアプリを試しに実現できるか」を段階的に理解してもらえるよう、企画を組み立てていきました。

それぞれ紹介していきます。

Apple Vision Pro 開封の儀

Apple Vision Pro を開封することもイベントにして、購入したんだぞっ!という周知をするため、開封の儀を開きました。

イベントのアイキャッチについては、関心を引くデザインになるようデザイナーさんに制作を依頼

オンライン・オフラインの両方で参加できるようにしたことで、多くの社員に参加してもらうことができました。

前半は、Apple Vision Pro の画面をミラーリングしながら、どんな画面が見えているのかをオンラインで参加している人にもわかるように解説交えて紹介していきます。

後半は、オフラインで参加してもらった人には、Apple Vision Pro を実際に体験してもらう時間としています。

やはり「恐竜たちとの遭遇」や「Apple Immersive Video」が大変好評な印象でした。

support.apple.com

恐竜たちとの遭遇

恐竜たちとの遭遇

  • Apple
  • エンターテインメント
  • 無料
apps.apple.com

イベントにおいて実施する中で考慮した点

Apple Vision Pro はデバイス体験として新しいため、デバイスを渡せば誰でもすぐに使える、というものではありません。

Apple らしく非常に直感的に利用しやすいインターフェースではあるものの、ユーザーにとってスマートフォンの見慣れた画面とは差分が大きく、思うように操作するのには時間がかかります。

また、大人数で扱いやすいデバイスにはなっていないため注意が別途必要な部分もあります。

Apple Vision Pro の画面はミラーリングして共有

他の Apple 製品同様、Apple Vision Pro の着用者が見ている画面は MacBook や AirPlay に対応した端末にミラーリングすることができます。

Apple Vision Pro 着用者を外から見ていてもシュールな映像が撮れるだけなので、基本的には着用者が見ている画面を流すのが良いかと思っています。

イベントでは MacBook で Zoom に参加してウィンドウ全体共有状態、かつ、Apple Vision Pro をMacBook にミラーリングする形式で配信しました。

トラブルシューティング:MacBook が Apple Vision Pro のミラーリング対象に表示されない

MacBook 側でAirPlay レシーバーが ON になってない可能性があります。

Mac の場合:Apple メニュー  >>「システム設定」(またはシステム環境設定)の順に選択し、サイドバーで「一般」をクリックした後、右側の「AirDrop と Handoff」をクリックして、「AirPlay レシーバー」をオン support.apple.com

ゲストモードを基本的に利用

Apple Vision Pro はゲストモード(デバイス所有者が他の人に渡すためのモード)という機能で、所有者でない人にも体験してもらうことができます。

ほかの人がApple Vision Proを使えるようにする - Apple サポート (日本)

ただ、視線を正確に読み取るためにキャリブレーションが必要になります。

ゲストユーザー1人の設定を保存することができますが、ひとつの設定までで大人数に体験してもらう場合、毎回キャリブレーションが必要になり回転率はあまりよくありません。

( 入力形式を「頭部姿勢」にすることで、視線のキャリブレーションを省略することもできますが、その場合 Apple Vision Pro 本来の体験から離れてしまうためその点がトレードオフになります。)

体験者がメガネを着用している場合

視線が操作に大きな役割(視線がマウスカーソルのようなポインタの役割)を持つため、体験したい人で日常的にメガネを着用しないとよく見えないという方にはうまく体験をしてもらえない場合があります。

コンタクト着用を推奨しつつ、度がきつい場合には視線のズレが大きく同様にうまく体験をしてもらえないことがありました。

「この人だけには体験してもらいたい!」という場合には、Optical Inserts を購入するという手段もありますが、安価なものでは無いため気軽な体験という文脈では難しい印象です。

www.apple.com

Apple Vision Pro を知る分科会を実施

開封の儀でセンセーショナルに Apple Vision Pro を買ったぞー、と宣言したところで、社内でさらに知識をつけてもらいます。

イベントで Apple Vision Pro の動作画面が見えても、Meta Quest とどう異なるのかや、他社の事例ではどういったものがあるのかがないと、アイデアには結びつかないと判断したためです。

スライドは公開してますので、ご興味ある方はぜひ!(社内向けの情報は抜いています)

speakerdeck.com

AR, VR 業界での事例や、Apple Vision Pro ならではの体験が提供できることを伝える内容としてプレゼンしました。

試してみたことのランダム共有

知識をつけていただきつつ、アイデアの種を撒くことも必要です。

また、自身が R&D として Apple Vision Pro で開発を行う準備としてキャッチアップしていくフェーズでもあったため、取り組んでいることを Slack に垂れ流していきました。

1日の終わりにSlackで投稿

失敗した内容でも何でも毎日投稿しながら、社内で関心をなくさないように発信していきます。

失敗した実装動作もSlackに投稿

投稿へスタンプから反応をもらうのはもちろん、「こういった遊び方したい!」という声も上がり、色々とアイデアを得られた機会でもあります。

プロトタイプアプリを作る

最後に、ヤプリのクライアントに協力してもらいプロトタイプを作成しました。

ヤプリではノーコードアプリプラットフォーム「Yappli」を提供しており、コードを書くことなくiOS, Android のネイティブアプリを作ることができます。

yapp.li

「土井善晴の和食 - 旬の献立をレシピ動画で紹介」としてレシピ動画を紹介するアプリを提供しているクライアントに使用許可をいただき、visionOS のアプリとしてプロトタイプを作成できることになりました。

‎「土井善晴の和食 - 旬の献立をレシピ動画で紹介 -」をApp Storeで

🚨:あくまでプロトタイプとして作成しており、App Store には公開されていません

以下のような点から、Apple Vision Pro とお料理アプリは非常に親和性の高いものと思っています。

  • UI 操作が視線と指の動きで完結するため、手が汚れていても操作ができる
  • 料理をしながら動画を再生したり、YouTube など他のコンテンツも楽しめる
  • 3Dオブジェクトから盛り付けや、完成品のイメージを提供しやすい

実装などは別の記事で紹介できればと思いますが、以下のような感じで Apple Vision Pro をつけて料理するような世界を想定して作成しています。

プロトタイプアプリの動作

最後に

ヤプリに visionOS エンジニアはいません 😇

Apple Vision Pro を R&D として取り組んだ自身も iOS エンジニアで、VR や AR にガッツリ足を踏み入れた経験はありませんでした。

そのため、Apple Vision Pro の開発は手探りであり、新しい取り組みとして携われたので非常に貴重な経験になりました。

R&D としてこれまでにない挑戦的な領域にも踏み込んでいけるのは、ヤプリの大きな魅力かと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



ヤプリにご興味がある方いましたら是非カジュアル面談でヤプリ社員と話しましょう!

open.talentio.com