Yappli Tech Blog

株式会社ヤプリの開発メンバーによるブログです。最新の技術情報からチーム・働き方に関するテーマまで、日々の熱い想いを持って発信していきます。

教科書通り(TTP)のプロダクトマネジメント

この記事は、 ヤプリ #2 Advent Calendar 2022の19日目の投稿になります!

こんにちは。プロダクトマネージャーの古屋です。

突然ですが、星野リゾート代表の星野佳路さんが「教科書通りの経営」を実践しているという事について驚いた方も多いのではないでしょうか。 私もそのうちの1人です。

自社の課題に合った教科書を選び、教科書に書かれている通りに経営してきました

ということを、星野佳路さんは各メディアや書籍などで紹介していて、
自分の課題に合う教科書に出会うことが重要だなと、とても感銘を受けました。

また、ビジネススクールの講師にビジネス書(教科書)は全てが良書ではないため、
【発見】【理解】【疑問】という3分類で整理するのが良いと学んだことがあります。

特に【疑問】については、今まで経験してきたことに照らし合わせることで疑問に感じることであり、
今後この疑問が【発見】【理解】に変わる可能性もあるため、定期的に書籍を見直して欲しいというメッセージをもらったことが強く記憶に残っています。

さて、話を本題に戻します。

タイトルにも記載しているプロダクトマネジメントに関しても多くの教科書が出版されています。
私自身、教科書を参考にしたことで、Yappli Data Hubというサービスを多くのお客様にご利用いただけるようなサービスに成長させることができました。

カッコつけた言い回しをしましたが、、、
要は「自分の引き出し+教科書をTTP(徹底的にパクル)」でサービスを成長させたという話になります。

  • どのような課題があったのか
  • どのような教科書を参考にしたのか

について、本ブログの中でご紹介したいと思います。

第1章:【0→1】旅の始まり - PoCで提供価値の解像度を高める

課題:提供価値がわからない
教科書:リーン・スタートアップ

以下のようなプロジェクトを進行する事になった場合、皆さんはどのように進めますか?

  • プロダクトはホリゾンタルSaaS(業界横断型)。
  • 営業戦略は、PLG(Product Led Growth)ではなくSLG(Sales Led Growth)。
  • 優秀なデータサイエンティストと優秀なサーバーサイドエンジニアと一緒にプロジェクトを進行。
    (能力だけではなく、サービスをGrowthさせたいという強い気持ちも兼ね備えている)
  • 提供価値が定まっていない。誰もわかっていない状態。

入社早々にプロジェクトにアサインされましたが、 提供価値が定まっていないという課題を早急に解決する必要がありました。

外部環境や内部環境の分析によって提供価値の仮説は頭の中にはある状態ですが、
わかりやすい結果(ファクト)がないと社内理解もスムーズに進みません。

そこで過去に読んだ本をいくつか取り出し、一冊の本が答えを導き出してくれました。
それが、リーン・スタートアップ です。

www.flierinc.com

この著書の中にはイノベータ理論にも触れており、以下のようなことが述べられています。

・アーリーアダプターとは、製品をもっとも強く欲している顧客であり、早い時期に商品やサービスを利用してくれる。
・失敗に寛容であり、フィードバックもあるため、商品のブラッシュアップに貢献している。
・スタートアップの企業や事業にとっては、このタイプの顧客を得ることは非常に重要である。

当時この本を読んだ際に、「スタートアップの企業がアーリーアダプターを見つけるのは相当な労力と時間がかかる。理想はわかるが現実的には難しいのでは?」という【疑問】がありました。

現職に照らし合わせてみると、ヤプリには多くのお客様がいます。
既存のお客様の中からアーリーアダプターを見つけ出すことで、フィードバックやブラッシュアップに協力しているお客様がいるのでは?。 まさに【疑問】が【発見】に変わった瞬間でした。

すぐにPoC(概念実証)の企画書を作成し、お客様へご提案。
ご承諾頂いたお客様と数ヶ月間並走することで得られた結果とフィードバックは非常に有益なものでした。
PoCの結果を記事にしたものが以下になります。

「Yappli Data Hubを活用してアプリのデータをより深く分析」 news.yappli.co.jp

この取り組みで顧客ニーズを分析し解像度を高めていくことができ、
結果的にN1分析できたことが現在の成長に繋がっているのではないかと思っています。

第2章:【1→10】人の心に火をつける - 自ら自燃型になり、可燃型を味方にする

課題:他部門を巻き込んで販売を軌道に乗せたい
教科書:働き方

いよいよサービスをお客様へ提供して、安定した収益を得るフェーズになります。

SLG(Sales Led Growth)ではなくPLG(Product Led Growth)であるため、
このフェーズにおいてはセールスを中心に多くのメンバーの協力が必要になります。

第1章でイノベータ理論について触れましたが、会社の中にでも当てはまる理論だと私は考えています。

導入数を増やすにはアーリーアダプターである先進的で影響力の強いエース社員が受注して、
受注ストーリーを語ってくれることが私自身が話すよりも必要だと感じていました。

上記のような考え方をインプットできたのが、働き方という書籍になります。

www.flierinc.com

書籍の中では人間性のタイプについて以下のように分類されています。

  • 自燃性の人間・・・自分から率先して物事に取り組み、エネルギーを周囲に分け与える人。
  • 可燃性の人間・・・自燃性の人、既に燃え上がっている可燃性の人の影響を受けて燃え上がる人。
  • 不燃性の人間・・・周囲からエネルギーを与えられても燃え上がらず、周りの人から熱意や情熱を奪う人。

自らが自燃性の人間となり、人の心に点火し動機づけることが大切だと心に刻み、
キーマンに泥臭く啓蒙活動を進めていくと、”提案したいから相談させて欲しい”というダイレクトメッセージの数が徐々に増えたのと比例して、受注数も増えていきました。

社内の啓蒙活動を続けていくと、想像もしていなかったPRチームから声がかかりました。

”サービスがよくわからないから教えて欲しい、それを記事にして社内外へ伝えたい”

「Yappli Data Hubプロジェクトの世界 #いしむの知らない世界! vol.2」 times.yappli.co.jp

本当に感謝しています。
わかりやすく言語化することが社内の認知度向上に寄与したことは間違いないと思っています。
また、このような取り組みが自発的に行える会社は凄いなと思い、ヤプリという会社がより好きになった瞬間でもありました。

「Yappli Summit 2021 -UPDATE」 news.yappli.co.jp

「Google Cloud Day: Digital ’21」 cloudonair.withgoogle.com

この記事をキッカケに社内外のイベントへの登壇の数を増やし、
少しずつ認知度を向上させる取り組みを行うことで安定した収益を得ることに貢献できたかと思います。

第3章:【1→10】武器を増やす - 一次情報の重要さ

課題:業種業態によってニーズが異なる
教科書:プロダクトマネジメントのすべて

ホリゾンタルSaaSの場合、様々な業種業態のお客様にサービスを提供することになるため、
ビジネスドメイン知識の習得に加えて、お客様のニーズを限りなく鮮度の高い情報として収集する必要があります。

  • 可能な限り商談に同席をして一次情報を得ること
  • 二次情報も可能な限り集まるように仕組み化(Slack利用)

上記2点によって鮮度の高い情報が集まってくると、課題がより明確になります。

「プロダクトマネジメントのすべて」という書籍の中では、
Why(課題)/ What(解決策)/ How(実現方法)の仮説を立てて、検証していくことの重要性が述べられています。

www.shoeisha.co.jp

Why(課題)が業種業態によって異なるため、What(解決策)/ How(実現方法)をそれぞれ考える必要がありました。
ただ、全てを鵜呑みにして一つずつ対応していくには現実的ではないため、
以下の2点を定義をしてFit&Refineを繰り返すことで、What(解決策)/ How(実現方法)を固めていく作業を行ってきました。

お客様に長く活用してもらうために

  •  業務フローに組み込みやすい
  •  運用に手間がかからない ≒ 簡単

多くのお客様に提供するために

  •  汎用的な仕組み → 横展開
  •  メンテナンスや改善がしやすい仕組み

同じプロジェクトを担当しているデータサイエンティストの阿部も
「データ活用プロダクトもアジャイルにいこう!」というメッセージを出していますが、
上記のニュアンスを汲み取ってHow(実現方法)の部分を言語化してくれたものだと思っています。

「Yappli Data Hubの顧客データ連携の仕組みについて」 tech.yappli.io

一次情報への接触機会を増やすことは、顧客ニーズを特定することに大きく役立ちます。

このフェーズでは、一次情報は意思決定をする上で非常に重要な要素であることを感じたとともに、
「これでいくぞ!」というチームの意思力が、エンタープライズ企業の導入実績を作ることができた要因の一つかと思います。

第4章:【10→100】新たな旅の始まり - 絶賛格闘中

課題:多くの課題がある状態
教科書:選定中

【10→100】のフェーズは、より多くのお客様にご利用いただけるように堅牢な仕組みを作ることが重要になります。
この堅牢な仕組みにするために、既にエンジニアに対応してもらっている部分も非常に多いですが、 来年はより「守り」の部分にも注力していく予定です。

tech.yappli.io

プロダクトライフサイクルとしては、まだまだ成長期であるため、
今後も多くの教科書を参考にしてプロダクトをマネジメントしていきたいと考えています。

現時点では、絶賛格闘中というフェーズのため、
ある程度結果が出たタイミングで再度記事を書こうと思っています。

最後に

本記事では、”0→1”,”1→10”というフェーズの取り組みについて一部をご紹介しましたが、
ご覧になった多くの方は、恐らく私とは違う進め方をする方も多いのではないかと思います。

個人的には教科書を参考にするということは、再現性を担保するには適したやり方かなと考えています。

記事をご覧になった方で「このような進め方がいいと思います」「このやり方がベストでは?」など、
様々なご意見をいただけると非常にありがたいです!

ヤプリではプロダクトマネージャーの採用を強化しています!
もし興味がある方いましたら是非カジュアル面談で色々とお話しましょう!

open.talentio.com