こんにちは、UI/UXデザイナーの城です。
前回の記事では、Yappliで提供しているアプリの機能刷新にあたって、調査の経緯と気づきについてお話しました。 この記事では、ユーザーインタビューで得られた情報をモデル化し、その結果を社内に報告したことについて書きたいと思います。
情報を咀嚼し「腑に落ちる」ということ
今回調査会社の方と一緒に分析ワークショップを行いました。 10名分のインタビューの中で得られた情報を切片にしてテーブルに並べ、そこからKJ法でグルーピングしていきます。 大量の情報を1つ1つ読み込んでいくのはなかなか根気がいりますがここで適当にまとめるといけません。大事な情報が潰れてしまって最終的に薄い内容にまとまってしまうためです。 なので複数人で確認しながら注意して抽象化していきます。 その後、ジャーニーにまとめ、ユーザーのメンタルと行動がどのように関連しているのかをモデル化していきます。
最終的に以下のような課題が分かってきました。
- 類似機能と比較して行動促進効果が薄い
- ユーザーは機能の価値を十分に実感できていない
事実としての情報に触れ、ユーザーのメンタルと行動を分析したことで上記の課題を解像度高く理解することができました。 調査会社の方から教えてもらったことですが、こういったインタビューの見学や分析は関係者が参加するべきとのことです。 調査会社がまとめたドキュメントを読んだだけではどうしても「そんなの分かってたことだよね」という感想を持たれて終わってしまいがちですが、一次情報に触れ、自ら分析していくことで重要な情報を十分に咀嚼し「腑に落ちる」という経験ができるので、その後の意思決定に大いに役立ちます。
認識をそろえ同じ課題感をもつ
調査結果に関する報告会では、開発に関わるPdmやエンジニア以外にも、営業メンバーやお客さんのアプリビジネスをサポートするカスタマーサクセスチームといった様々なメンバーが参加してくれました。沢山質問が飛んだり真剣にメモをとっている様子が見られたりしたので中身の濃い報告会になった気がします。 またその後参加者アンケートを行ってみたところ、多くが仕事に役立つ部分があり満足したと回答していました。 以下抜粋コメントです。
- ジャーニーマップを含め、ユーザーの感じている「価値」を可視化されていたことが役に立ちそう。(お客さんへの)提案にも活かせる
- 思ったより○機能はユーザーへの動機が薄いなと感じました。逆に△機能はxxxしやすくするなど仕様考慮してもいいなと思うところが多く、かなりメモしましたw
これらの感想を得て感じたこととしては、情報を共有し同じ課題感をもつことで進むべき方向性を議論できるようになるということです。 誰か1人が情報をもっていても、それを他メンバーに根拠をもって共有できていなければ結局何も進みませんが、ファクトをベースにした情報を関係者に共有することで全員の理解が深まり、より建設的な議論をボトムアップで起こすことができます。
定性調査で得たものは
調査と分析をしたことで、主観や思い込みに左右されない議論を行うことができます。 ボトムアップでプロダクトを良くしていくための武器の1つとしてこういった調査は有用かと思います。 今回の話の場合は定性調査でしたが、案件や状況によっては定量調査も行うことでよりバランスのとれた判断が可能になりそうですね。
おわりに
ヤプリのUI/UXチームはまだまだ未熟ですが、体験を良くするための取り組みを今後も強化していきます!