こんにちは、UI/UXデザイナーの城です。
UI/UXチームでは日々、Yappli(ヤプリ)というプロダクトのUI改善や新規機能開発の体験設計を行っています。 今回は最近実施した定性調査のご紹介とその有用性について前編・後編に分けてご紹介したいと思います。 前編は実施した調査の経緯と気づきについてです。
意思決定の材料としての調査
UI/UXチームは何やってるの?
YappliはBtoBtoCサービスです。 アプリを作成したいと考える企業がYappliの管理画面でアプリをつくり、そのアプリをエンドユーザーが利用します。 UI/UXチームの主な業務は、この管理画面のUI改善を行ったり、アプリエンドユーザーの体験を考え端末側のUIをデザインすることですが、最近はユーザーを理解するために定性調査を強化しています。
迷いのあるデザインプロセス
Yappliで提供しているアプリの機能は20以上もあります。 今回はこの内の1機能について、UI面・仕様面の刷新を行うというものでした。 この機能はリリース以降長く利用されてきましたが、時代とともにUIが古くなってきたことと、お客さんからの追加要望が多いことから刷新を行うことになっていました。
しかし、ここで疑問がわきます。
- Yappliとしてどのような体験を提供すべきなのか?
- そもそもこの機能の価値とはなんなのか?
- ユーザーは何を期待して機能を利用しているのか?
要件はあるものの、機能のビジョンや方向性といったものがない中で、えいや!と開発したところでユーザーからの不満や新たな課題があがり、右往左往することは容易に想像できます。 特にアプリエンドユーザーについては私達プラットフォームのデザイナーからはとても遠い存在であり、ユーザーが何を期待しどのように機能を利用しているのか把握もできていないような状態でした。 そのため、今回は対象機能の利用実態とユーザーの価値観を調査し、今後の開発の意思決定の材料にしようと考えました。
調査の計画と実施
今回は調査会社と連携し以下の設計で本調査を実施しました。
目的:ユーザーの利用状況や価値観を理解し、今後の開発検討を行うための基礎情報とする
調査手法:1on1デプスインタビュー(60分)
対象ユーザー:Yappliで作成された特定のアプリを利用するエンドユーザー10名
予想外のコンテキスト
ユーザーインタビューを行ったことで多くの気づきを得ることができましたが、その中でも興味深かったのは、家族全員が同じアパレルブランドのアプリを利用しているというものでした。その家族は一家でそのブランドのファンであり、全員がアプリを利用しているようなのですが、お母さん、お父さん、お子さん、それぞれ利用のしかたが異なっていました。お子さんは自分の欲しい服をアプリで探して親にねだり、お母さんはクーポンやセール情報をチェックし、お父さんは家族で買い物に出た場合に店舗でアプリを出すといった使い方をしています。
スマホアプリはPCと異なりコンパクトな世界なので、基本1人で使われることを想定してしまいがちですが、グループ単位でのコンテキストが存在することもあります。会社のデスクで作業をするだけでは想像できませんよね。 ユーザーの家族構成や生活まで理解をすることで、点と点が1つの線としてつながってくような、複雑性をもった1つのストーリーが浮かび上がります。
もちろん今回調査した10名がアプリユーザーのすべてではなく、汎用的に使えるペルソナを立てるには別の調査が必要になりますが、少なくとも自分たちの「ユーザー目線」がいかに浅いものであったかを痛感しました。 私達がUIをデザインしているアプリの向こうには、想像していなかったユーザーのコンテキストが存在しており、その生活の一部にアプリが使われていることを知れたわけです。
次回の記事では、ユーザーインタビューで得られた情報をモデル化し、報告会を行った話を書きたいと思います。